森田療法とは?
森田療法とは、森田正馬博士が独自の体験を基に考案した、強迫性障害の治療法です。
強迫症状或いはそれに伴う苦悩不安をそのまま素直に認め、それに抵抗したり、反抗したり、あるいは種々の手段をこうじてごまかしたり、回避したりしないで、まともに受け入れ、しかも、患者が本来持っている生の欲望に乗って、建設的に行動する様に促す治療法である。
症状に対しても「あるがまま」であるとともに、「向上発展」の欲望に対しても「あるがまま」である。
これが単なる「あきらめ」と異なるところである。
「あるがまま」と「あきらめ」との差異
「あるがまま」と「あきらめ」の差異を、卑近の例で説明してみよう。
プールの高い飛び込み台から初めて飛び込もうとするとき、恐怖感を起こすのは一般人に普通の心理である。
この恐怖のために飛び込むのを止してしまうのが、「あきらめ」の態度である。
またこの恐怖心が不快であり、飛び込むのに不利な心理であるとして、観念的にこの恐怖心を起こすまいとつとめ、それが無くなったら飛び込もうとするのが「あるがまま」でなく、「はからいごと」であり、神経症に通ずる路である。
この態度では恐怖心を無くすることに重点をおくのであるが、それは必然的な心理に対する闘いであり、不可能を可能にせんとする葛藤である。
そのために精神交互作用的に恐怖意識はいよいよ強くなり、飛び込むという本来の目的は、かえって閑却されてしまう。
そこで「あるがまま」というのは、当然起こるべき恐怖はそのまま受け入れて、びくびくはらはらのままで本来の発展的な、飛び込むという欲望に乗って飛び込むのである。
まず恐怖心を無くして飛び込もうという、二重の操作は無用である。
その行動によって、結果としては自信も生まれ、恐怖心も薄らぐのである。
この際、人間の生活における心理的事実として、感情の自由は高度に制限されているが、行動の自由は比較的より広い範囲において可能であるということが、「あるがまま」の態度の体現を可能にする理論的根拠になるであろう。
神経質症状の発生および固着の機転
1 「精神交互作用」~これは、我々の心身の現象に不安な注意を向けると、それがますます鋭く感受される、そうするといよいよそこに注意を向けて、悪循環を来すことを意味する。
2 「精神拮抗作用」~これは自己の心身の現象を自己保存上不利のもの或いは不快なものとして、これを排斥するとか否定しようとかする態度である。
3 「思想の矛盾」~このことは「かくあるべし」という思想と「かくある」という事実との矛盾を意味するもので、前述の精神拮抗作用と同質のものと見て差し支えない。
4 「自己暗示」
ー参考文献ー
高良武久著作集2 高良武久