入院闘病記(閉鎖病棟) PR

入院闘病記(閉鎖病棟) 本 第12話

僕は空き時間、読書に励んだ。

何かにとりつかれたように、本を読んだ。

本は僕の心を、癒してくれた。

僕は本の中に、救いを求めた。

本は僕の全てを、無条件で受け入れてくれた。

僕を罵ることもなければ、イジメることもなかった。

僕は現実の世界から、本の中の世界に逃げた。

夜九時の消灯後も、廊下の薄明りの下で、本を読み続けた。

僕が心を惹かれた作家は、村上春樹だった。

僕は寝食を忘れて、村上春樹の本を、読み漁った。

村上春樹の本は空想的で夢があり、論理的に話が進んでいく。

僕は、夢中になって読んだ。

かなり、エロティックな表現が多く、僕は勃起しながら読んだ。

ページを繰る度に、どんどん村上ワールドに、引き込まれていく。

村上春樹の文章を読むと、心が癒されて、嫌なことを忘れてしまう。

結局僕は、退院して実家に帰ってからも、村上春樹を読み続け、全巻制覇してしまうことになる。

僕にとって読書は、ここ閉鎖病棟において、正気を保つための唯一の手段であった。

本の中には、全く新しい世界が広がっている。

旅行に行けなくても、本を読めば、心の中で旅することができる。

本は僕の、唯一の救いだった。

書物の新しいページを一ページ、一ページ繰るごとに、僕はより広く、より強く、より大きくなっていく。

僕は、本を読みながら考えた。

(何で私は、こんな所に居るんだろう?)

(どうしたらここから、抜け出すことが出来るんだろう?)

答えは、なかなか出なかった。

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